Share

第15話 責任取れば?

last update Huling Na-update: 2025-05-02 09:34:48

「皆さん……いきなりですが、本日は転校生を紹介致します。さぁ、君。自己紹介しなさい」

頭が禿げかかった男性教師に促され、ジョンは一歩前に進み出た。

「皆さん、初めまして。ジョン・スミスです。どうぞよろしく」

ジョンが挨拶すると、女生徒たちは全員ポ~ッとした顔で彼を見つめている。

うん、うん。その気持ち……よく分る。何しろジョンは性格は最悪だが、外見だけは驚くべき程の美形の持ち主なのだから。私がジッと見つめていることに気付いたのか、ジョンがパチリとウィンクした。すると、途端に女生徒の間から黄色い歓声が沸き起こる。

「キャッ! 見た見た? あの人……私にウィンクしたわ」

「何言ってるのよ! 私にしたに決まっているでしょう!?」

「ああ……何て素敵な方なのかしら……」

一方、気に入らないのは男子学生達。彼らは皆つまらなそうな顔をしているか、もしくは敵意のある目でジョンを見ている。

「き、君達……静かにして下さい……」

一方、一番情けないのは禿げ教師の方だった。オロオロしながらも必死で女生徒達を静かにさせようと試みるも、誰一人言うことを聞かないのだから。そんな教室の様子を興味無さげに見渡しているジョン。全く……こんなに大騒ぎにさせたのだから責任を取ればいいのに……。退屈だった私は窓の外から見える景色を眺めていた。……それにしてもなんて美しい景色なんだろう。まさか学校の中に噴水があるなんて……。

その時、突然教室がシンと静まり返った。

え? な、何!?

慌てて教壇の方を振り向くと、そこには呆然とした顔の教師の他に驚いた様子で私を見るクラス中の生徒達。

い、一体何なの……? 何故皆私に注目しているの? わけが分からず、緊張しながら椅子に座っていると禿げ教師が言った。

「え~……そ、それでは君の席は……アルフォンスさんの席の隣がいいと言うことなので……どうぞ席に行って下さい」

「ありがとうございます」

ジョンは笑みを浮かべると、教室中に女生徒達のうっとりした溜息が響き渡る。そしてジョンは私の方へ向かってツカツカと歩いて来る。

嘘でしょう? 私の隣の席には……別の男子学生が座っているのに!?

隣を見ると、気弱そうな青年がオドオドしながら近づいて来るジョンを見ている。やがてジョンは青年の前でピタリと止まった。

「君、悪いけど……何所か空いている席に移動してくれないかな?」

「は、は
Patuloy na basahin ang aklat na ito nang libre
I-scan ang code upang i-download ang App
Locked Chapter

Pinakabagong kabanata

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第114話 妖艶な男性

     何て綺麗な男の人なのだろう……。街灯の灯りで茶色の髪の毛がキラキラと光り輝いている。まるでハリウッドスターのようなルックスに見惚れていると声をかけられた。「あの……僕の顔に何か?」怪訝そうに首を傾げる男性から慌てて離れた。「い、いえ! 何でもありません! 助けていただきありがとうございまし……痛!」左足首に痛みが走り、思わず顔をしかめた。「大丈夫ですか? もしかして今ので足を痛めたのではないですか?」男性が心配そうに尋ねる。「い、いえ。本当に大丈夫ですから……」しかし、私の左足首は熱を持ち、ズキンズキンと鈍い痛みが続いている。男性は私が痛みを堪えている様子に気付いたのだろう。「本当に申わけございません。僕の前方不注意で貴女に足の怪我を負わせてしまいました」そして頭を下げてくる。「い、いえ! そんな謝らないで下さい。ちゃんと前を見ていなかった自分の責任ですから」「ですが、それでは歩けないでしょう? タクシーを拾いますので送らせて下さい」「タクシーなら自分で拾えますから大丈夫ですよ」尤も家までいくらで帰れるか分からないけれども……。「いえ、僕に送らせて下さい。どうぞ、僕につかまって下さい」手を差し伸べてきた。「は、はぁ……ありがとうございます…」恐る恐るその手につかまると、予想以上に力強く握り返された。「では、参りましょう」「は、はい……」思わず頬が赤くなりながら頷いた―― **** 私と男性を乗せたタクシーは夜の町を走っている。……何だか夢みたいだ。こんなに素敵な人が隣に座っているなんて。彼にバレないように窓ガラス越しに映る姿をそっと盗み見ていると、彼は突然私の方を振り向いた。「!」そしてガラスに映る私と目が合ってしまう。ど、どうしよう……。まさか、私が見ているのがバレてしまった……?彼はニコリと笑う。「窓の外に何かありましたか?」「い、いえ! た、ただ外の景色を眺めていただけですから!」慌てて振り向き、返事をした。「そうですか、それは残念です」彼は少し目を伏せた。「え……?」「僕としては外の景色よりも貴女を見ていたのですけどね?」「え……えええ!?」「驚きましたか? 実は本当のことを言うと……貴女とぶつかってしまったのは、僕がつい貴女の美しさに見惚れて足を止めてしまっていたからなのです

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第113話 見慣れた光景のはずなのに…

    「どうしたの? ぼ〜っとして。飲みすぎたの?」「そうよ? さっきからずっと声かけていたのにジョッキ持ったまま身動きしないんだから」奈々と綾香が口々に言う。「え? ジョッキ?」見ると私は右手にビールジョッキを手にしていた。「嘘 ?いつの間に?!」慌ててテーブルの上にジョッキを置いた時、パサリと髪が前に垂れる。それは黒髪だった。「え……? 黒髪?」「ねえ、どうしたの? 美咲。本当に変よ?」奈々が心配そうにこちらを見ている。「あの……私って黒髪だったかしら……?」私の髪はウェーブのかかったストロベリーブロンドじゃなかっただろうか?「ちょっと、大丈夫? お酒の飲み過ぎで意識が飛んじゃったの?」綾香が身を乗り出してきた。「う〜ん……そうかも。ちょっとお手洗いに行ってくるわ」無性に鏡を見たくなった私はガタンと席を立った。「大丈夫? ついていってあげようか?」奈々が声をかけてきた。「あ〜大丈夫、大丈夫。1人で平気だから」混雑する店内をフラフラと歩きながら辺りを見渡した。背広姿のサラリーマンや仕事帰りのOLの様な人たちばかりだ。店は何処にでもある和風の大衆居酒屋で楽しげに飲んで騒いでいるお客たちでごった返している。見慣れた光景だったはずなのに……何故だろう? 無性に懐かしく感じるのは……。「これが私の顔……」鏡の前には私……美咲が映っている。黒髪は肩よりも少し長く、ストレートヘア。目はぱっちりと大きく二重。落ち着いた化粧で……うん、多分うぬぼれでは無く、美人の部類に入るかもしれない。現在、25歳。小さな商事会社で総務課勤務。東京都内の1DKマンションに一人暮らし……だったはず。自分のプロフィールを頭に思い出す。「今日は久しぶりに中学の友人たちと待ち合わせをして、仕事帰りに居酒屋に立ち寄った…。うん、確かそうだったはず。よし、大丈夫!」パチンと両頬を手で叩く。「2人のところに戻ろう」そして私はお手洗いを出た――****「ふ〜飲んだ、飲んだ……ショルダーバッグをブンブン振り回しながら友人たちと店を出た。「ねぇ、後半すごくピッチ上げてお酒飲んでいたけど大丈夫なの?」奈々が背後から声をかけてくる。「大丈夫。へーき、へーきだってば。楽しかったからつい、飲みすぎちゃって。こんな風に友達と話すの久しぶりでさ」する奈々と綾香が

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第112話 夢の世界

    「ね、ねぇ。夢の世界って……一体いつからなの……?」今迄私は何度も何度も色々な夢や、様々な体験をしてきた。何処からが夢の世界なのか、もう何も分からなくなっていた。「いいか? ユリアはあの日、催眠暗示を掛けられて池に飛び込むように誘導された。そこからずっと眠ったままになってしまったんだ。今だってずっとベッドの上でいつ目覚めるかもわからない状態で眠っている。魔法を掛けて何とか体力を維持させているが……今だって徐々に生気を失い続けている。もう1カ月も眠りに就いているんだ」オルニアス……いや、セラフィムの言葉に目を見張った。「う、嘘でしょう……?」声を震わさせながら彼を見る。「嘘なんかついていない。ユリアが俺に助けを求めて森にやってきたのは事件が起こる半月前のことだった。最近学園で危険な目に遭うようになってきたから守って欲しいと頼みに来たんだ。おおかたどこからか噂を聞きつけて来たのだろけどな」「危険な目……?」「ああ、いきなり後ろから物をぶつけられたり、突然ボールが自分の方に向かって飛んで顔に当たったことも時にはあったと言っていた。最初はそれでも偶然の出来事だろうと余り気にも止めていなかったらしいが、その内嫌がらせが酷くなってきたらしい」「その嫌がらせって……どんな嫌がらせだったの?」「自分の足元に鉢が落ちてきたそうだ。それが足元で粉々に割れた時は流石に恐怖を感じたと言っていたな」「あ……そうなの?」確かに頭を直撃すれば下手をすれば死んでいたかもしれない。「だが、ここまでの話では俺が動くまでも無いと感じた」「あ……やっぱりそうなるわよね?」確かにそうかもしれない。「それで? その後はどうなったの?」私は話の続きを催促した。「とりあえず、それ位のレベルの話なら他を当たってくれと言って帰らせることにした」「何ですって!? 酷いじゃない! 助けを求めてやって来た私を追い返すなんて!」何て薄情な人なのだろう。するとその言葉に何故か笑みを浮かべるセラフィム。「同じだな……あの時のユリアも今と全く同じセリフを言ってたな」「そ、それは当然でしょう? わらにもすがる思いで助けを求めに来た私を追い返すなんて……あんまりでしょう?」「あの時はまだそれほど緊急性を感じなかったんだ。だけど一応、ユリアには保護魔法のかかった指輪を渡した。それを身につけ

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第111話 目を覚ませ

    ま、まさか……そ、その声は……?恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは……。「キャアアアアッ! で、出たー!!」思った通り、そこに立っていたのはオルニアスだったのだ。「お、おい! ちょっと待て。落ち着けって」「いやあああああっ! こ、こ、来ないで!あっちへ行ってよ!!」滅茶苦茶に腕を振り回し、オルニアスが傍に来れないように威嚇? する。「頼むから落ち着けって!」何故か以前とは少し雰囲気の違うオルニアスだったが、そんなことはどうでも良かった。魔力も剣技? も何も持たない私は、ただ叫んで腕を振り回して防御することしか出来なかった。「いやあああ! 殺さないでってば! 私はもうベルナルド王子なんてどうだっていいんだから!」「あーっ! もうっ!いい加減にしろっ!」ガッ!ガッ!あっという間に私は両腕をオルニアスに掴まれ、動きを封じられてしまった。そしてまつ毛が触れ合う程至近距離で顔を近づけたオルニアスが言った。「いいから落ち着け。俺はお前に危害を加えたりしない」「う、嘘よ……だ、だって今まで散々私のこと……こ、殺そうとしていたわよね……?」声を震わせながら尋ねる。「どうやら、少しは落ち着いたようだな?」そしてパッと私の両手を離した。「いいか? そもそもそこから間違えている。俺はお前の命なんかただの一度も狙ったことは無い。ユリア……まだ目が覚めないのか?」「え……?」な、何を言ってるの……?驚きで目を見開くと、オルニアスは溜息をついた。「全く……随分深く催眠暗示を掛けられているんだな。だが、いい加減に目を覚まさないと本当に夢に取り込まれて戻れなくなる。身体が衰弱して死んでしまうぞ?」「ちょ、ちょっと待ってよ……さっきから一体何を言ってるのよ……?」「ようやく少しは冷静になれたようだな……いいか? ここは現実世界じゃない。夢の中の世界だ。ユリアは夢の中に取り込まれ、徐々に生気を奪われている」「な、何ですって!? う、嘘でしょう!?」「嘘なんかついていない。俺はようやくユリアの精神が眠っている最深部までたどり着くことが出来たんだ。ここはあいつによって全て作りだされた世界なんだよ」「あ、あいつって……だ、誰よ……」声を震わせながら尋ねた。いやだ……まさか、信じたくはないけれども……。「オルニアスだ」「へ?」「だから、

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第110話 3人との噂話

    「そう言えば、さっき学生食堂でノリーンとか言うメガネの女子生徒がまたベルナルド王子にまとわりついていたよな?」オーランドの話にアークが頷く。「ああ。それでベルナルド王子に命じられて俺たちが追い払ったんだよ。全くしつこい女だよ。俺から言わせれば、あんな王子のどこがいいんだか、気が知れないぜ」「俺だってそう思うさ。まぁ、相手が王子だからその地位に惚れて付きまとっている可能性もあるがな」「成程、そうなのね……」納得して頷く。それにしても彼らは分っているのだろうか? 仮にも王子に仕える身でありながら、言いたい放題言っている。こんなことが王子の耳に入ったら不敬罪に問われるのではないだろうか?「そういや、あの女……俺たちのことをすごい目で睨みつけていたな。仕返ししてやるとか何とか言ってたけど……訳が分からん」首を傾げるオーランド。「そう、それよ! その仕返しがさっきの私に対する口説きよ」「はぁ? 何だよ、それは……」「ああ、そう言えばオーランド、お前さっきユリアを口説いていたよな? まさかあれが仕返しなのか?」アークが尋ねてきた。「ええ。ノリーンはオーランド王子の腰巾着である貴方達にどんな手を使ったかは知らないけれど、暗示にかけて私を好きにさせる様にしたんだわ。だって3人とも、私のことを物凄く嫌っていたもの。嫌いな相手を口説かせる……これは精神的に結構ダメージを与えられるんじゃないかしら?」自分で言っておきながら何だか虚しい気持ちになってきた。「成程……その仕返しは確かに嫌かもしれないな」「ああ。まさに屈辱的だ」大真面目に頷くアークとオーランド。「あの……。せめてそこは『そんなことは無いだろう?』位は言って貰えないかしら?」「何を言う?俺 は常に自分の心に正直でありたいからな」「ああ。幾ら操られていたからと言って、屈辱的だ」「あ……そ、そうなのね? でも良かったわ。ノリーンの言う仕返しが些細なもので」安堵のため息をつくと、オーランドが声をかけてきた。「え? それじゃこの教室に来ていたのって…?」「そんなの決まってるじゃない。クラスメイトの女生徒達に聞いたのだけど、ノリーンが貴方達に仕返しやるって言ってたそうだから慌てて様子を見に来たのよ」「それって、つまり俺達を心配してきたってことか?」「当たり前じゃない。そうでなければわざわ

  • 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした   第109話 操られる2人

     声が聞こえた方角を見ると、そこに立っていたのはアークだった。「チッ……! 折角いいところだったのに」オーランドが舌打ちする。……え? いいところ?「王子の忘れ物を取りに戻ったお前の帰りが遅いから何をしているのかと思えば……この卑怯者! さてはユリアに手を出すつもりだったな!? 抜け駆けは許さんぞ!」え!? 抜け駆け!?「うるさい! ユリアを口説く絶好のチャンスだったのに……アーク! よくも邪魔してくれたな!」えええ!? 口説くって何よ!「何だと!?」「やる気か!?」2人は互いにズカズカと歩み寄ると、至近距離で睨み合う。ここで本来であれば、私を取り合って2人の男性がいがみ合っているなんて……と思うのかもしれないが、私の場合はそうはいかない。何故なら私の記憶の何処かで、彼らは私のことを徹底的に嫌っていたのを何となく覚えているからだ。なので私を取り合って2人が喧嘩をするはずは無かった。「ちょっと待ってよ!」慌てて2人の間に割り込むとオーランドとアークを交互に見た。「俺達は今から決闘するのだ。危険だから下がっていろ」「必ずあいつに勝ってみせるからな?」終いに物騒なことを言い出す2人。絶対にこれは異常事態だ。「だから、待ってってば!」私が叫ぶと、ようやく2人は睨み合うのをやめてくれた。「どうしたんだよ?」声をかけてきたのはアークだった。「どうしたもこうしたも無いわよ。2人とも一体どうしちゃったの? 私のこと、すごく嫌っていたのに、どうして私を取り合って喧嘩しようとしてるの?」「え!? お前を取り合って喧嘩だと!? 嘘だろう!?」オーランドが驚きの声を上げる。「うん、そうよね。それが今までの普通の反応よね? オーランドが私を口説くなんてありえないもの」「な、何だって!?」ショックを受けるオーランド。「何だ? お前そんなことをしたのか? 全く物好きな奴だ。ユリアを口説くなんて」笑いを堪えてオーランドを指差すアーク。「言っておくけど、アーク。そんな貴方はオーランドに『抜け駆けは許さんぞ』と叫んだのよ?」「う、嘘だ! 俺はそんなこと言った覚えは無いぞ!」青ざめるアーク。……うん。これではっきり分かった。「アーク、オーランド。どうやら貴方達は私を好きになるように暗示を掛けられたようね」「「何だって!?」」私の言葉

Higit pang Kabanata
Galugarin at basahin ang magagandang nobela
Libreng basahin ang magagandang nobela sa GoodNovel app. I-download ang mga librong gusto mo at basahin kahit saan at anumang oras.
Libreng basahin ang mga aklat sa app
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status